美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
美容師は体力的にも精神的にもハードな仕事であり、下積み期間も長いことから、離職率の高さが危惧されています。
今回は、美容師の離職率や人材不足という課題への対策について解説していきます。
目次
厚生労働省から発表されている「新規短大等卒就職者の産業別離職状況」によると、平成31年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が35.9%、新規大学卒就職者が31.5%となっています。
その内、美容師が含まれる「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は、新規高卒就職者が57.2%、新規大学卒就職者が47.4%で、全体の離職率よりも高い値となっています。
我々、美容業界の現場感覚では、1年以内で30%、3年以内で50%程度の美容師が離職しているという認識です。
さらに、衛生行政報告及び(公財)理容師美容師試験研修センターをみると、従業美容師数は免許登録者数累計数よりも少なく約半分以下であることが分かります。
このデータは平成17年から令和元年までの15年間を対象としていますが、約15年で免許登録者は約28万人増となっているにも関わらず、実際に働いている従業美容師数は約13万人しか増えていません。
このことから、美容師国家資格に合格しても美容師にならない人が多いことや、美容師として働いていても、その後別の仕事を選ぶ人が多く離職率が高いこと、また、事情があり復職できない美容師がいることなどが考えられます。
では、美容師の離職率が高くなる理由として考えられるものを以下に示します。
まずは労働時間が長いという点があげられます。
例えば、営業時間が10時から20時までであり、シフト制で9時間勤務(1時間の休憩時間を含む)であったとしても、営業前の準備(清掃、ミーティングなど)や閉店後の残務(清掃、在庫管理、翌日の予約確認など)、個人練習などで実質的な稼働時間は長くなってしまう傾向にあります。
また、美容師の稼働時間はお客様の予約状況により変わってくるところがあるため、閉店時間の2時間前にカラーやパーマの予約が入った場合、閉店時間になったからと言って店じまいをするわけにはいかず、結果、労働時間は長くなってしまいます。
そして、クリスマス前や正月などの行事、大型連休などの前には予約が集中する傾向があるため、なかなか決まった休みがとりにくいという点もあわせてあげられます。
厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、理容・美容師の平均給与/月は約26.7万円となっています。
また、国税庁「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、一般労働者の平均給与/月は36.9万円であることから、比較すると理容・美容師の給与はやや安いことが分かります。
この給与が高くないという点は、前記した「労働時間が長い」という所にもつながっており、ハードな仕事にもかかわらず対価としての報酬が得られにくいといった点も離職率が高い理由としてあげられます。
美容師はお客様に決まった技術を提供する仕事ではなく、お客様の悩みや理想をヒアリングし、ひとりひとりに異なるオリジナルな施術を行う必要があります。
人とコミュニケーションをとることが苦手である場合、対話の中から美容に関する悩みを引き出したり、提案をしたりすることができず、離職するケースも珍しくありません。
また、対お客様ではなく、美容室の店長やスタッフとコミュニケーションをとることができず働きにくくなり、職場の人間関係が理由で辞めていくケースも増えています。
多くの美容室では、アシスタントを経てスタイリストになるという一人前の美容師へのプロセスがありますが、そのプロセスが長く時間がかかるため、美容師のやり甲斐を感じられないまま辞めていくケースもあります。
特に10代から20代前半の若年層においては、労働時間、報酬、店の営業方針などに同意できず、やり甲斐が無くモチベーションも上がらないことも離職する理由としてあげられます。
カットやカラーなどの専門性が高く、お客様のオーダーが同じようなものである場合、毎日の仕事がルーティーン化して緊張感がなくなり、環境(勤務する美容室)を変えたいと辞めるケースもあります。
専門性が高く、顧客層がニッチであったとしても、お客様への似合わせは十人十色で異なるため、施術例としてSNSにUPしたり、スタイルのポートフォリオなどをつくり、常に世間に発信をしていくことで自身で刺激をつくり、モチベーションをUPさせていくことが大切です。
これまでは美容室の離職の実態や理由についてあげてきましたが、美容師の離職率が高いと美容室にはどのような問題が生じてくるのでしょうか。
まず一番にあげられる問題は、離職したスタッフのお客様を失客してしまうことです。
多くのサロンでは、お客様には担当のスタイリストが決まっています。その美容室に数回行くと、そのスタイリストではないと施術してもらいたくないと思うのが顧客心理です。
あるスタイリストが独立開業や他店への就職が理由で離職する場合、そのスタイリストについていたお客様も新しい店や別の店に移ってしまうことも多くあります。
特に小規模店舗で、スタイリストが少ない場合、担当している顧客の割合は大きいため、そのスタイリストの離職は非常に痛手となります。
美容師の離職によって、現スタッフへの負担が増える点も大きな問題です。
スタイリストやアシスタントが一人いなくなると、その人が行っていた業務を残ったメンバーで分け合って負担する必要があるためです。特に、小規模の美容室であれば、その負担は必然的に大きくなってしまいます。
仮に、離職したスタッフが広告宣伝などを行っていた場合は、動画編集や画像編集などの一般業務以外の特殊なスキルを誰かが引き継ぐことになるため、新しいメンバーが入ってくるまで業務負荷が大きくなります。
次に、離職したスタッフへの研修やセミナーなどの人材育成にかけた手間や時間、費用が無駄になるのも問題の一つです。
特に、カットやパーマ、カラーリングなどの技術はそのサロン独自のものがあり、徐々に時間をかけて教えていくため、ある程度習熟度が高いスタッフが離職すると、前記で述べた手間や時間、それにかかった費用の他に、ノウハウが他店に流出する恐れもあります。
最後に、離職したスタッフの穴を埋めるための求人募集に掛かる採用コストが発生する点です。
これは紙媒体やオンラインでの募集に掛かる費用以外に、面談の時間や協議の時間も生じます。
また、募集をかけて採用してもすぐ離職するリスクもあり、人材が定着するまで採用コストがかかり、リスクを抱えたまま数か月過ごすことになります。
では、美容師の人材不足を解消するためにできる対策にはどのようなものがあるでしょうか。
待遇面を改善することは働き手のモチベーション上がり、離職率を下げることにつながります。以下で、待遇面の改善について箇条書きで有効な手法をあげてみます。
・報酬の改善(月給ベースで○○円UP、売上に応じてその売上の▲▲%歩合としてUP、店販の売上の10%を歩合給として加算など)
・週休完全2日制(必ず月8日は休暇を取るシフトづくり)
・予約状況を踏まえたフレックス勤務(コアタイム+予約が集中している時間帯で8時間勤務)
・独立支援(開業支援金の付与※トップスタイリスト以上に限る)
・セミナー参加や書籍、化粧品などの美容に関する費用負担(全額負担から50%負担)
公正な評価基準やインセンティブ制度の導入により、美容師に対して適正な報酬体系を設けることや、美容師のワークライフバランスを確保することはモチベーションを維持し、離職を防ぐ要素となるでしょう。
高校生などの若い世代をアルバイトとして採用し、その後美容師としての技術や知識を学ばせることで、長期的な関係を築くことができます。それが結果的に美容室にとって貴重な資産となる可能性があります。
また、若い年齢から育成された美容師は、美容室の一員としての意識を持ち、チームの一体感を感じることができます。これにより、職場環境の良好さや協力体制が形成され、離職を防ぐ効果が期待できます。
結婚や出産、育児や介護などのライフイベントに対する理解とサポートがあれば、一時的に職場を離れた美容師が復帰しやすく、人材不足が解消されるでしょう。
待遇面の改善にも共通する内容ですが、時短勤務や週の労働時間の調整、保育支援制度の導入などをして、柔軟な勤務時間やシフト制度を提供すると、美容師が仕事とプライベートを両立しやすくなります。
また、復帰時に、最新の技術やトレンドについての研修や再教育プログラムを提供することで、美容師のスキルアップやキャリアの継続サポートが可能になります。
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