美容業界が抱える課題とは?美容室・サロンの今後の動向も解説
2022年8月31日
総務省統計局の「人口推計 」によると、日本の人口は、平成20年の1億2808万をピークに減少し、今後も減少していくことが予想されていますが、それとは逆に、美容室と美容師の数は増加傾向にあり、ここ数年は毎年過去最高を記録しています。このことから、美容業界内での競争はますます激化していくと見込まれています。
今回は、そんな美容業界が抱える課題と、課題解決に向けての対策、今後の動向について解説していきます。
「美容室業界の今後の動向は?」「現在抱えている問題や課題を解決したい」と思われている美容室・サロンのオーナー様は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
美容業界が抱える課題はたくさんありますが、中でも美容室やサロンを経営する上での課題
を3つのポイントに集約してご紹介します。
それでは詳しく見ていきましょう。
美容業界が抱える課題の一つに「集客数の減少」があります。集客数の減少は売上に直接関与する問題ですので、多くの美容室・サロンオーナー様が共通して頭を抱える課題だと言えるでしょう。
幅広いサービス業の中でも美容業界における集客は非常にシビアとなっており、その最たる理由は競合店舗数の多さです。
厚生労働省の「令和2年度衛生行政報告例-3生活衛生関係」によると、令和2年度末時点での美容所(以下、美容室)の数は25万7890軒となっており、これは、大手コンビニエンスストアチェーン店の店舗数の約4.5倍(※1)、信号機の約1.2倍(※2)の数となっています。
これだけの数がひしめき合っていると、美容技術や接客、サービス、店舗の評判といった全ての要素が集客に直結することになり、どれか一つでもネガティブなイメージを消費者に持たれてしまうと、選択肢から外される可能性が高くなります。
特に近年はネット上で美容室やサロンの情報を探す傾向が強いため、既存客や近隣住民からのクチコミには大きな影響力があると言えるでしょう。加えて、事実とは異なるデマ情報や行き過ぎたクレーム、誹謗中傷などをネット上に書き込まれる可能性も否定できません。さらに言えば、労働環境に不満を持っているスタッフが内情を外部へ告発するケースも考えられます。
そのため、新規顧客やリピーターの集客ツールとしてクーポンサイトを利用している美容室やサロンは多いかと思いますが、上記のような理由から「安ければ集客できるだろう」という時代ではなくなりつつあります。
このことから、集客課題に取り組むためには、健全な店舗運営や働きやすい環境作りなど、美容室・サロン経営そのものを抜本的に見直していくことが大切だと言えるでしょう。
【参考】
※1 コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査について(令和2年1月時点)|公正取引委員会
※2 都道府県別交通信号機等ストック数(令和2年度末現在)|警察庁
美容業界が抱える課題の二つ目に「美容師の不足」があります。
厚生労働省の「令和2年度衛生行政報告例」によると、2021年3月末時点での美容師数は54万9935人、理容師数は21万849人のトータル76万834人で、過去最高となっています。
美容師 | 549,935人 |
理容師 | 210,849人 |
トータル | 760,834人 |
一方で美容室・理容所の数は、厚生労働省の同データによると美容室が25万7890軒、理容所が11万5456軒のトータル37万3346軒となっており、理容所は減少傾向にあるものの、美容室の数は過去最高を記録しています。
美容室 | 257,890軒 |
理容所 | 115,456軒 |
トータル | 373,346軒 |
参考:厚生労働省「令和2年度衛生行政報告例」
この結果から単純計算すると1店舗あたりの従業員数は2名となりますが、厚生労働省「平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査について」にて報告されている「美容業経営の実態改善のと方策」によると、一人経営の美容室数が32.4%と最も多く、次いでスタッフ2名体制が28.2%となっています。
もともと美容室やサロンをはじめとする美容業界は独立志向の強い業界なのですが、さらに近年ではフリーランスの美容師やスタイリストも増加しており、こういった要因が相まって人手不足の現状を作り出しているものと考えられます。
加えて、厳しい労働環境や給与面への不満なども離職率を高める大きな要因だと言えるでしょう。
そのため、労働環境の改善や待遇・給与面の見直しだけでなく「この美容室・サロンで働きたい」というメリットの構築も美容業界の人手不足を解消する重要な課題となります。
美容業界が抱える課題の三つ目に「トレンドや情勢による影響」があります。
経済産業省の「第3次産業(サービス業)活動指数」によると、美容業界を含む「生活娯楽関連サービス」は新型コロナウイルス感染症の影響を最も受けた業種となっています。
例えば美容室の場合、カットやカラーといった美容にかける支出は大きく変化し、1回目の緊急事態宣言が発出された2020年4月のカット代の月額平均は350円を下回りました。コロナ禍以前(2015-2019年)の同月平均およそ550円と比較すると36%も減少し、新型コロナウイルス感染症の影響は全国の美容室・サロンにとって大打撃となったことがわかります。
また、このような情勢に加えて、美容業界はトレンドによる波が顕著に現れるという特徴も持ち合わせています。
総務省の「家計調査(二人以上の世帯)」によると、カット代の支出は横ばいとなっていますがパーマネント代は右肩下がりとなっています。これは近年のトレンドの変化によるもので、レディースでは巻き髪や盛り髪、毛先を重くするAライン、外国人風ウェーブヘアが流行った2000年〜2010年代をピークに、メンズでは黒髪で毛先に動きを出すパーマが流行した2000年代をピークに、パーマの需要は減少傾向に向かっています。
2020年代に入ってからは地毛を活かすナチュラル志向が男女共でトレンドとなっており、レディースではすっきりとした印象になるショートボブや顔まわりレイヤー、顎下でくびれるヨシンモリ(訳:女神ヘア)と呼ばれる韓国スタイルが、メンズでは韓流マッシュと呼ばれる韓国スタイルや刈り上げやフェードカットなどのバーバースタイルがトレンドとなっており、このトレンドが続く限りパーマの需要が増加する可能性は低いと言えるでしょう。
一方で、ステイホームの影響によって自宅でヘアスタイリングやネイルを楽しむ人は増加傾向にあります。
パーマや縮毛矯正といった施術での売上アップは難しいかもしれませんが、トリートメントや整髪料、ネイルオイルなどを店販したり、YoutubeやTikTokなどでヘアケア・ヘアスタイル方法を発信するなどして、情勢やトレンドに強い経営の柱を持つことが大切です。
美容業界が抱える課題を解決するために取り組むべきこととして、
といったことがあげられます。
それでは詳しくご紹介します。
美容業界全体の課題である集客数の減少を解決するために、新規顧客とリピーターの集客を強化していきましょう。
多くの美容室やサロンが陥りがちな問題として「クーポンサイトへの依存」がありますが、集客をクーポンサイトに任せきりにしてしまうのは望ましくない状態だと言えます。理由は、クーポンサイトを利用するお客様の多くは、価格や日付などの条件で美容室を選んでいるケースが多く、サービス以上の感動がなければリピーターになりにくいといった特徴を持つからです。
また、クーポンサイトが何らかの原因でサーバーダウンしてしまったり、利用自体ができなくなるといったリスクも持ち合わせています。
しかしながら、クーポンサイトは上手に活用さえすれば集客の強い味方になることは間違いありません。例えば、クーポンサイトを一つの集客ツールとして利用し、自社サイトやSNSへの導線を組み立てるのも一つの方法でしょう。
そして、もう一つ考えなければならないのは新規顧客とリピーターの割合についてです。
新規顧客とリピーターのベストな割合は、「新規2:リピーター8」もしくは「新規3:リピーター7」くらいだと言われています。理由は、新規顧客の集客にかかるコストがリピーター集客と比べて5倍程度必要だからです。そのため、新規顧客の来店数がリピーターを上回っている美容室やサロンは、リピーター集客に力を入れたいところです。
既存顧客が美容室やサロンをリピートしない理由として、一般的に以下のような点が挙げられます。
新規顧客の集客は見込み顧客に接触するチャンスを作ることに重きが置かれますが、一方でリピーターの集客においてはサービスの質とアフターフォローの2点を重要視すべきだと言えるでしょう。
例えば、サービス向上のための定期的な技術力チェックの他、マナーや接客講習会への参加もお勧めです。また、アフターフォローについては、スタンプカードやリピーター限定クーポンの配布だけでなく、来店周期の提案や店販商品の活用なども有効です。
美容業界が抱える人材不足の課題を解決するためには、離職率の低下と採用活動の活発化を目指したいのですが、そのためにはまず労働環境や待遇の整備を進めていくことが望ましいでしょう。
労働環境や待遇の整備として、労働時間や雇用形態、働き方の見直しなどがあげられます。残業が発生しないような予約スケジュールを組む・定休日を導入するといった対策の他、長期的に働けるように育休・産休・介護休暇制度を取りやすくする、時短勤務やフレックスタイムを導入するといった点も、現代においては重視すべき点だと言えます。
また、土日や長期休暇などでスタッフが足りない時は派遣やフリーランスの人材を活用するのも良いでしょう。
加えて、美容商材のリサーチ・発注作業や集客戦略、サイト・SNS運営、経理などは、必ずしも美容室やサロンでしなければならないわけではありません。美容ディーラーや経営コンサルタント、マーケター、税理士といった外部のスペシャリストを活用することで、本来の業務に集中することができますし、心強い味方が増えることで精神的な安定にも繋がります。
スタッフの育成は離職率の低下や技術力のアップに繋がり、ひいては集客や売上にも直結します。「ヘッドスパが上手なAさん」「手描きアートが得意なネイリストのBさん」というように、強みのあるスタッフを抱えていれば情勢やトレンドによる波も受けにくいでしょう。
このような強みを持ったスタッフを育成するには、アシスタントの教育カリキュラムから見直しが必要です。
美容室の場合、シャンプーやカット、カラー、パーマといった基本の施術カリキュラムに加えて、マナーやカウンセリング、商品知識、営業トークなどのカリキュラムも導入し、このようなカリキュラムを進める中で「このスタッフならでは」の強みを知っていくことが大切だと言えます。スタッフに強みを持たせることは、スタッフ自身のモチベーションアップにも繋がりますし、即戦力にもなるでしょう。
この他にも、
といった方法で、スタッフを育成していくことができます。またこれらは、美容室やサロンの価値を高めることにも直結しますので、業務の一環として取り入れたいところです。
加えて、技術力の高い中堅・ベテランスタッフの離職を防ぐことも、取り組むべき課題の一つです。中堅やベテランスタッフには、この美容室に居続けたいと思ってもらえるようなキャリアプランを構築する必要があるでしょう。そのため、施術のスペシャリストとして現場で働き続けたいのか?将来的に管理や人材育成などにつきたいのか?など、スタッフが描くキャリアプランを叶えていけるような受け入れ体制を整えていくのも大切なことです。
美容室やサロンなどの美容業界は、今後ますます競争が激化していくと予想されます。
厚生労働省の「美容業の振興指針」でも、こうした厳しい経営環境が継続する中で事業を存続させていくために、競合に勝つための強みを持つことを推奨しており、その一例としてサービスの充実やライフスタイルの変化に対応した店作りがあげられています。
【サービスの充実及びライフスタイルの変化への対応例】
加えて、マニュアルに頼らないおもてなしの心や、地域に根ざした店作りも大切です。
また、今後も増加していくと予想されているフリーランスを活用した美容室・サロン運営も視野に入れるべきでしょう。最近では、シェアサロンといって店舗を持たないフリーランスに対して面貸ししている美容室やサロンも増えてきています。
このように、時代に伴う働き方や運営方法の変化を柔軟に受け入れていくことは、美容業界全体が抱えている課題解決の糸口に繋がります。
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